「慣れている階段」ほど危険?踏み外し事故を防ぐための実践対策
「慣れている階段」ほど危険?踏み外し事故を防ぐための実践対策
階段での踏み外し事故は、家庭内で起こりやすい転倒・転落事故の代表格です。「気をつけて歩いていれば大丈夫」「今まで何もなかったから」と思いがちですが、実際には照明の明るさの変化や床の滑りやすさ、加齢による視力や脚力の低下など、ちょっとした変化の積み重ねが事故につながります。特に毎日使っている階段ほど慣れから注意が薄れやすく、思わぬ踏み外しが起こりやすいのが特徴です。
本記事では、公的機関の調査データも交えながら、階段で踏み外しが起きる原因を整理し、家庭でも施設でもすぐに取り入れられる具体的な対策、そして「対策しても不安が残る」という方に向けた階段昇降機という選択肢まで、詳しく解説していきます。

なぜ階段で踏み外しが起階段の踏み外し事故はどれくらい起きているのか
「自分は大丈夫」と思っていても、階段の踏み外し・転倒は決して珍しい事故ではありません。
国の調査機関がまとめたデータでは、高齢者の住宅内での転落・転倒事故のうち、発生場所としては階段が最も多く、転落事故の4割以上、転倒事故の1割以上を階段が占めるとされています。消費者庁に寄せられた報告でも、65歳以上の高齢者が自宅で転倒した事故のうち、階段は浴室・脱衣所や庭・玄関などと並ぶ主要な発生場所の一つに挙げられています。しかも転倒したうちの8割以上が通院や入院を要するケガを負っており、階段での事故は軽傷では済まないケースが多いのが実情です。
転倒・転落による高齢者の死亡者数は、交通事故による死亡者数の3倍以上にのぼるというデータもあり、家庭内の階段は「身近だからこそ見過ごされがちな危険な場所」だと言えます。
後期高齢者(75歳以上)は前期高齢者に比べて自宅内での転倒リスクが2倍以上になるという報告もあり、加齢とともにリスクが高まっていくことも分かっています。
こうした数字からも分かる通り、階段の踏み外しは「気をつけていれば防げる」で片付けられる問題ではなく、環境や設備の面からも備えておく必要があるのです。
なぜ階段で踏み外しが起きるのか
階段での踏み外し事故は、単一の原因ではなく、いくつもの要因が重なって起こるケースがほとんどです。主な要因を整理すると、次のように分けられます。
■視覚的な要因
照明が暗く足元が見えにくい、段鼻(段の先端)と踏面の色が同じで境目が分かりにくいなど、段差を目で正確に捉えられないことが踏み外しの直接的な引き金になります。特に夕方から夜間にかけては、自然光が減ることで階段が見えにくくなり、事故が起こりやすい時間帯です。
■身体的な要因
加齢や疲労によって視力・筋力・バランス感覚が低下していると、段差を認識してから足を運ぶまでの反応が遅れ、わずかなズレが転倒につながります。とっさに手すりをつかむ、体勢を立て直すといった動作自体が難しくなる点も見逃せません。
■環境・構造的な要因
踏面(足を乗せる面)が狭い階段や勾配が急な階段では、足の置き場に余裕がなく、バランスを崩しやすくなります。また、経年劣化で滑りやすくなった床材や、段差の高さが均一でない階段も、思わぬ踏み外しの原因になります。
■心理的な要因(慣れ・油断)
特に注意したいのが、毎日使っている自宅の階段ほど「慣れ」による油断が生まれやすいという点です。「何度も上り下りしているから大丈夫」という思い込みが、足元の確認を怠らせ、結果として事故につながります。安全だと思い込んでいる場所こそ、実は事故リスクの高い環境になっていることが少なくありません。
■そのほかの要因
両手がふさがるほどの荷物を持っていると視線が下がらず足元の確認が不十分になりますし、靴下や滑りやすいスリッパでの移動、体調不良時や飲酒後の移動も踏み外しのリスクを高めます。
こんな人・こんな場面は特に注意
●高齢の方、膝や腰に不安のある方
●夜間や早朝、寝ぼけた状態でトイレに向かうとき
●靴下や滑りやすい室内履きで移動するとき
●洗濯物や荷物を両手に抱えているとき
●体調不良時や服薬・飲酒の影響があるとき
●来客用など、普段あまり使わない階段を利用するとき
これらの状況が重なるほど、踏み外しのリスクは高くなります。
階段の踏み外し対策
階段の踏み外しを防ぐには、基本的な対策を「確実に」行うことが大切です。
■見えやすさを高める
段鼻と踏面の色にコントラストをつけたり、踏面と蹴上げ(段の垂直面)の色を分けたりすることで、段差を視覚的に認識しやすくなります。照明の位置や明るさを見直し、階段全体に影ができにくい環境を整えることも有効です。人感センサー付きの足元灯を設置すれば、夜間の移動時も自然に足元を照らせます。
■滑り対策
ノンスリップ材(滑り止めテープやマット)を設置したり、摩耗して滑りやすくなった踏面を補修したりすることで、足元の安定性が高まります。屋外階段では、雨天時でも滑りにくい素材への変更や、水はけを良くする排水対策も重要です。
■手すりの設置
片側だけでなく両側に設置することで、上りでも下りでも利き手に関わらずつかみやすくなります。利用者の身長や体格に合わせて、握りやすい太さ・高さに調整することも安全性の向上につながります。
■履物・服装の工夫
滑りにくい底のスリッパや靴下を選ぶ、裾の長い衣服は階段では特に注意する、といった日常の習慣も踏み外し防止に役立ちます。
■生活習慣の見直し
荷物は一度に運ぼうとせず何度かに分ける、階段の利用時は照明をつける、急いでいるときこそ一段ずつ確認するなど、日々の行動を見直すことも大切な対策の一つです。
「対策しているつもり」が一番危ない
階段の安全対策で最も注意したいのが、「対策しているつもり」になってしまうことです。以前に設置した滑り止めが劣化して十分な効果を発揮していなかったり、手すりは設置されているものの握りにくく実際には使われていなかったりするケースは少なくありません。デザインや見た目を優先するあまり、安全性が後回しになっている階段もあります。
こうした状態では、表面上は対策をしているように見えても、実際の事故防止にはつながっていない可能性があります。設置した設備をそのままにせず、定期的に点検し、使いやすさや効果を見直すことが欠かせません。見直しのない対策は、結果として「やっていないのと同じ」になってしまうのです。
階段事故を防ぐために、設備で支える安全対策「階段昇降機」
滑り止めや手すりなどの対策を行っていても、「階段を使うこと自体が不安」「足元に自信がなくなってきた」と感じる場面は少なくありません。そのようなとき、有効な選択肢の一つとなるのが階段昇降機の導入です。
階段昇降機は、椅子や台に座ったまま階段を移動できる設備で、上り下りの動作そのものを行う必要がありません。そのため、踏み外しや転倒のリスクを大きく減らすことができます。特に高齢の方や、膝・腰に不安を抱えている方にとっては、「注意して歩く」という本人の努力に頼らず、設備の力で安全を確保できる点が大きなメリットです。
階段昇降機は、すべての人に必要な設備というわけではありません。しかし、次のような方にとっては安心を支える心強い存在になります。
・階段の上り下りに少しでも不安を感じている方
・日によって体調や疲労の影響を受けやすい方
・将来の事故を未然に防ぎたいと考えている方
・家族が安心して暮らせる環境を整えたいと考えている方
購入とレンタル、どちらが向いているか
階段昇降機は購入だけでなく、レンタルという選択肢もあります。それぞれに向いているケースは異なります。
購入とレンタルの比較を、もう少し項目を増やして整理しました。
| 比較項目 | 購入 | レンタル |
|---|---|---|
| 初期費用 | 機種や階段の形状により高額になりやすい | 購入に比べて初期費用を抑えやすい |
| 月々の費用 | 基本的に発生しない(購入後は自己所有) | 月額利用料が継続的に発生する |
| 想定利用期間 | 長期間・恒久的な利用に向く | 短期〜中期利用、「まず試したい」場合に向く |
| 賃貸住宅への設置 | 制約が出やすい(退去時の原状回復が課題になりやすい) | 原状回復を前提とした設置がしやすい |
| 持ち家以外での利用 | 建物の所有者との調整が必要になる場合がある | 撤去前提のため比較的相談しやすい |
| メンテナンス | 基本的に自己負担・自己管理 | 月額料金にメンテナンスが含まれるプランもある |
| 故障時の対応 | 修理費用が別途発生することが多い | 契約内容によっては交換・修理対応が含まれる場合がある |
| ライフスタイルの変化への対応 | 不要になっても設備は残る(処分に手間・費用がかかる) | 不要になった時点で返却・撤去がしやすい |
| 介護度・体調の変化への対応 | 機種変更は再購入が必要 | 状態に応じて機種変更がしやすい場合がある |
| 契約の終了・解約 | 特になし(所有物のため) | 契約期間や解約条件の確認が必要 |
| 向いているケース | ・長期間同じ住まいに住み続けることが決まっている<br>・将来的にも継続利用する予定がある | ・退院後や介護が必要な期間だけ使いたい<br>・賃貸住宅に住んでいる<br>・導入前にまず試したい<br>・費用を抑えて始めたい |
「退院後の一時的な利用」「介護が必要な期間だけ使いたい」「賃貸住宅に住んでいる」といった場合は、レンタルの方が無理なく取り入れやすいケースが多くあります。一方で、長期間にわたって同じ住まいで使い続けることが決まっている場合は、購入も選択肢に入ってきます。どちらが合っているかは、住まいの状況や利用期間の見通しによって変わるため、専門会社に相談しながら検討することをおすすめします。
よくある質問
Q. 階段昇降機は賃貸住宅でも設置できますか?
階段の形状や建物の管理規約によって条件は異なりますが、原状回復を前提としたレンタルであれば、賃貸住宅でも導入しやすいケースが多くあります。まずは階段の状況を伝えて相談してみることをおすすめします。
Q. 直線階段でもL字やカーブがある階段でも設置できますか?
階段の形状に合わせてレール形状を設計するため、直線階段だけでなく、曲がり階段や踊り場のある階段でも設置できます。実際の設置可否は現地の採寸・調査によって判断されます。
Q. レンタルはどのくらいの期間から利用できますか?
短期的な利用から長期的な利用まで、状況に応じたプランを提案してもらえる場合があります。「退院後しばらくの間だけ」「様子を見ながら使いたい」といった相談も可能です。
Q. 導入までにどれくらいの期間がかかりますか?
住まいの状況や機種によって異なりますが、相談から現地調査、設置までには一定の日数を要します。不安を感じ始めた段階で早めに相談しておくと、いざという時に慌てずに済みます。
まとめ|不安を感じたら、早めの相談が安心につながる
階段での踏み外し事故は、注意や気配りだけで完全に防ぐことが難しい場面もあります。滑り止めや手すりなどの対策を行っていても、「少し怖い」「以前より不安を感じる」と思うようになったら、それは安全を見直す大切なサインです。無理を重ねて事故が起きてしまう前に、設備で安全を支える選択肢を知っておくことが、安心した暮らしにつながります。
階段昇降機の導入を検討する際は、住まいの状況や階段の形状、使う人の体の状態に合わせた提案が欠かせません。そのため、「設置できるか分からない」「自分に合っているのか不安」という段階でも、まずは専門会社に相談することが大切です。
ケアリフトでは、利用者一人ひとりの状況に寄り添いながら、無理のない安全対策をご提案しています。購入だけでなくレンタルにも対応しているため、費用や設置期間に不安がある方もご相談いただけます。階段に不安を感じ始めた今こそ、安心して暮らし続けるための第一歩として、お気軽にお問い合わせください。
